謹んで震災のお見舞いを申し上げます。
 
 平成23年3月11日の東北地方太平洋沖地震及び長野県北部 を震源とする地震で被害を受けられ た皆様に心より お見舞い申し上げます。
   私達学校関係者も、千年に一度という大惨事に対して心を一つにして、被災者の方々の今後の救援に取り組
んでいきたいと思っております。
  
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  憲法改正のさざ波が聞こえる    
ー憲法制定に問題がある。故に、安倍政権に期待すー

                       理事長 田澤昭吾

  昨年12月16日、総選挙が行われ、安倍晋三総裁が率いる自由民主党が、衆議院議員定数480議席中291議席を獲得し、政権与党第一党に3年3カ月ぶりに返り咲きました。
    公明党29議席との連立政権では320議席となり、過半数241議席を大幅に上回るという結果になりました。同月26日には、安倍新内閣が発足しました。
   安倍首相は、平成19年9月以来、5年3カ月ぶりの首相復帰で、首相の再登板は現憲法下では、吉田茂氏以来2人目だそうです。
  安倍首相は、前の首相時代に、防衛庁を「省」に昇格させ、戦後初めて教育基本法改正を成立させ、憲法改正の布石となる国民投票の制定なども実施しましたが、健康上の理由で首相在任1年で辞任した経緯があります。
   この度の自民党の政権公約では、経済政策と共に、憲法改正、自衛隊の国防軍構想、集団的自衛権の行使を可能にする、尖閣諸島への公務員常駐など、国家の主権を守るための政策をはっきりと打ち出し、選挙を戦ってきました。安倍政権が公約通りに政策を実施するかどうか、民主党政権のように政権公約は絵に描いた餅として棚上げしていくかどうか、注視されている所でもあります。
  今回は、安倍内閣の国会でのやり取り等について皆さんに紹介したいと思います。
   安倍首相の所信表明は、1月28日に行われ、外交・安全保障について、尖閣諸島問題などを念頭に「国民の生命・財産と領土・領海・領空は、断乎として守り抜いていく」と宣言しました。また、30日の衆院本会議では、憲法改正の発議要件を定めた憲法96条を緩和する改正する考えを表明しました。
    憲法96条とその2項を読んでみます。
    「この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行われる投票において、その過半数の賛成を必要とする。」
   「二.憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。」
と定められています。
    衆参両院で、それぞれ「3分の2以上の賛成」を必要としているのは、改正困難なこと自明の理です。
    もともと、現日本国憲法は、終戦後の昭和21年2月3日に、連合国軍総司令部・GHQのマッカーサー最高司令官が、マッカーサー私案に基づいてGHQ民政局に命じて、9日間で作らせた憲法です。
  憲法の前文には、日本国民は「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」と記されています。
    日本の安全と平和は、他国の公正と信義を信頼して守っていくというのです。
    今の世界状況を見渡せば、どこに公正と信義を信頼できる国があるでしょうか。中国からは尖閣諸島問題で再三領海侵犯され、今では領空侵犯をするまでにエスカレートしてきています。しかも、「尖閣諸島は中国の領土だ」と叫び続けて、譲らない構えです。2010年の中国漁船が海上保安庁巡視船に体当たりしてきた事件は、皆さんも承知の通りです。映像は嘘をつけませんから、あの時の映像を見れば、中国の漁船がわざとぶつかってきたことは明々白々です。
   1月16日に報道されたアルジェリア人質事件では、日本人10名が、テロリスト・イスラム原理主義者に殺されたことがその後判明しました。
   この一連の出来事からしても、どこに「平和を愛する諸国民の公正と信義を信頼」する方途を見出せばいいのでしょうか。それは、余りにも無責任な国の在り方としか言いようがありません。
    まだまだ現実の国際社会は、国家の安全と平和を守って行くには、武力よる保障を確保・確立しないと守っていけません。この現実を正しく認識しないと、国民の生命と財産を守ってくことはできません。
    昭和20年8月15日の敗戦で日本は、マッカーサーを総司令官とする連合軍総司令部の占領下に置かれました。アメリカの占領政策は、「日本が再びアメリカの脅威となり、また、世界の平和及び安全の脅威とならないようにすること」「他国の権利を尊重し、国際連合憲章の理想と原則に示されたアメリカの目的を支持すべき、平和的かつ責任ある政府を究極において樹立すること」という対日方針によって実施されました。それが日本の武装解除と非軍国主義化となり、「東京裁判」開廷、日本国憲法制定へと時は動き、その歪みが戦後日本の今を招いています。
    5年前の安倍政権誕生の時は、こうした「戦後レジーム(体制)からの脱却」を掲げて登場し、戦後日本の在り方を根本から見直すという国家目標を国民に提示してくれました。それが今、再度、当時未完成だった「戦後レジーム(体制)からの脱却」を完成させるべく安倍晋三氏は立ち上がったと、期待しています。
     1月30日の衆院代表質問では、日本維新の会から平沼赳夫国会議員団代表が質問に立ちました。その質疑応答の記事を紹介しましょう。
    平沼氏「日本の皇室は男系が続いた世界唯一の存在だ。」
    首相 「女性宮家は慎重な対応が必要だ。(天皇は)男系継承が古来、例外なく維持された重みを踏まえる必要がある。」
    平沼氏 「占領国が違法な手段で改正した現行憲法は問題だ。」
    首相 「党派ごとに異なる意見があり、まず憲法96条改正に取り組む。」
 現職の首相が、国会答弁で憲法改正に具体的に言及したのは極めて異例なことのようです。しかし、公約通りでの見解で、「日本維新の会と、みんなの党とも、基本的には一致できるのではないか」と、衆院選で勝利した直後の記者会見で述べています。具体案としては、「総議員の3分の2以上の賛成」を「2分の1以上の賛成」に緩和する方針のようです。
    因みに、『この国をダメにした日本国憲法』(瀧澤 中著、ぶんか社)では、憲法改正について、フランスでは15回の改正、ドイツでは日本と同様先の大戦国だったため平和主義に貫かれていて、軍に関する規程が一切なかったのですが、1954年と1956年の2度に亘って敗戦後に定められた憲法(基本法)を改正し、軍隊を持つことをはっきりと明記し、徴兵制まで導入しました。その後、憲法(基本法)は、48回もの改正を経て整備され、今日に至っているそうです。アメリカでは、過去、憲法の改正は18回行われ、27カ条が追加しているそうです。永世中立国のスイスでは、1874年に憲法が制定されて以来、140回も憲法改正を経験してきたそうです。
  私は、法学部の学生だったので、法律はその時代の国民に応えられるように改正されていくことが肝要だと、習った記憶があります。そういう意味からすると、日本国憲法も、ドイツに倣って独立国家としての主権を守るためにも見直し、改正すべきところは改正していくべきだと思っています。初代校長先生は、『憲法野語』という本を著し、現憲法の矛盾を指摘品されながら、憲法改正問題についても見解を述べておられます。玉稿は、『田澤康三郎著作集@』に収められています。
    次回は、自衛隊法の問題点について述べてみます。
                                             (2013.2.17)
 
「松風塾生の横顔」を連載する予定でしたが、勝手なのですが、今回は、緊急性を感じて、憲法問題について記させていただきました。ご了解ください。