謹んで震災のお見舞いを申し上げます。
 
 平成23年3月11日の東北地方太平洋沖地震及び長野県北部 を震源とする地震で被害を受けられ た皆様に心より お見舞い申し上げます。
   私達学校関係者も、千年に一度という大惨事に対して心を一つにして、被災者の方々の今後の救援に取り組
んでいきたいと思っております。
  
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 松風塾生の横顔  その2

                       理事長 田澤昭吾

   前回の「松風塾生の横顔」から二週間も経過してしまいましたが、第二弾を紹介します。 2年生の韓国演奏旅行は、10月17日から21日までの日程で実施されました。今回の韓国演奏旅行は、竹島問題で日韓関係が非常に険悪な状態になっている最中での日程でしたので、保護者の方も随分と心配された方もおられました。    私達も、大丈夫だろうかと本当に心配しました。そこで、韓国・光州の長城(チャンソン)高校の校長先生に、石井校長からFAXを送信し、現地の状況を尋ねましたら「何も心配いらない」という返答でしたので、安心して出発しました。
    韓国での日程は、もう恒例となっている長城高校での交換演奏会とホームスティが主力です。他に、ソウルでは、福祉関係の施設での演奏会が恒例で、今年は「走夢(ジュモン)学校」という肢体不自由・精神肢体の学級を開設している学校での演奏会でした。そして、南北に分断されている韓民族の悲劇の地・板門店の見学も恒例となっています。
   毎年、2年生はマンドリンを携えて、「音楽は国境を越えて」という願いで、高校生同士による日韓交流の平和の旅を開校以来続けていますので、今回は韓国演奏旅行の感想文を紹介し、「松風塾生の横顔・その2」とします。
     「めちゃくちゃ楽しかった。これが韓国演奏旅行を終えての感想です。
  韓国演奏旅行事前指導の学習と宗教の時間で、日本と韓国の歴史的経緯について学びました。その一つは、竹島問題でした。韓国は、日本の領土である竹島を自国の領土だと言い張り、今現在も不法占拠しています。こうした事実が、日本と韓国の間に横たわっています。   今回は、竹島問題が一層険悪になっている中での韓国演奏旅行でず。かも、旅行は無理かも知れないと言われるほどでした。 しかし、交流が深い長城高校の校長先生にFAXで尋ねたところ、『国が交流を禁止するまで長城高校と松風塾高校との交流は辞めない』という返事が帰ってきたと聞きました。僕は、その知らせを聞いて、長城高校がこれほどまでに松風塾を信頼してくれているのかと、嬉しくなりりました。不安より、期待感の方が胸に膨らみ、韓国へ出発しました。
 長城高校では、同じ2年生の生徒が温かく迎えてくれ、『この人たちは何でこんなにも優しいのだろう』と思うほどでした。ホームスティ先でも、とにかく優して優しくて、“惚れちゃう”と思うほどに感激でした。本当に良い人達でした。ホームスティを終えて別るとき、同じ学年の彼は、「Kと過ごした日は忘れない。Kも忘れないで」と、悲しい顔で言ってくれ、『マジでめっちゃ良いじゃん』と胸が熱くなり、別れるのが辛かったです。
   国と国の難しい問題は山積していますが、僕たちには僕たちなりに平和のために出来ることが一杯あると感じた旅行でした。人と人が仲良くなり、それが多くの人に影響していくことが出来れば、日本と韓国の間に横たわっている問題も良い方向に向かっていくのだと思いました。  
    韓国で出会った人たちは、本当に良い人たちばかりで本当に嬉しかったです。松風塾と長城高校からでも、日韓友好の架け橋が築かれていけば、やがて日本と韓国も良い方向に向かっていけると感じて日本に帰ってきました。そううなることを心から願っています」(S・K君)。
    もう一つ紹介しよう。
  「私がホームスティで感じたことは、『人と人の関わりに国境なんて無いんだ』ということでした。
   音楽でも感動する事がありました。走夢での演奏会の時です。演奏中聴衆の方をチラッと見たら、松風塾高校から贈呈した記念品を受け取った子が見え、その子が聞いているみんなの中で一番嬉しそうに聴いてくれていました。私は、『あ、喜んでくれている。良かった』と思いました。そのうち、韓国の曲になったら生徒たちが私たちの演奏に合わせて楽しそうに大きな声で唱ってくれました。私は嬉しくて嬉しくて、この生徒たちに感謝の気持ちで一杯になり、演奏しながら涙を流すのでなく、本気で泣いてしまいました。周りを見ると、同期のみんなも涙を流しながら演奏していました。
    本当に感動の演奏会でした。予定されていた曲が全て終わるとアンコールまでしてくれました。私は本当に嬉しくて、『この子たちの前で演奏できて良かった。あきらめないで音楽を続けてきたのは、この日のためだったのかもしれない』と思いました。あの時のことは、私の人生の中で本当に忘れることが出来ない良い思い出になりました。今でも、あの時の感動を思い出しただけでも泣きそうになるくらいです。
   私は、日本人として考えさせられることが板門店でありました。板門店では、二列に並び、北朝鮮側には絶対指を指さないでくださいと指導されました。ところが、一緒になった日本の人たちは、「つめてください」と言われても中々列をつめないばかりか、挙げくの果ては北朝鮮側に向かって指を指す人までいました。板門店は、休戦状態とはいえ、いつ死の場面が訪れるかわからない所です。そんな場所でのんきに指を指したりしているなんて、日本は平和ボケしていると思い知らされました。そして、如何に日本は平和な国なのか、と改めて知ることが出来ましたし、そんな平和な日本に生まれて幸せだと思いました。そして、幸せだからこそ世界のことについてもっと勉強し、知らなければならないと思いました。
  私は。この短い時間の演奏旅行で、多くのことを学ぶことができました。韓国で学んだことをしっかりと心の引き出しに大切に仕舞っておき、将来のために役立たせていきます」(S・Iさん)  
  この二人の感想文から、韓国演奏旅行の意義が理解できたかと思います。また、松風塾高校高校の生徒たちの心に何が芽生えているかを理解していただけたか思います。松風塾高校の理解の一助していただければ幸いです。
   高校生同士の出会いには、国境はありません。そして、人間の真心にも国境はありません。多感な時代の高校生は、その国の将来の宝です。高校時代に築かれた日韓友好の絆は、彼らが社会人となった時に花となり実と成らせてくれると信じています。本校創立者田澤康三郎先生が遺してくださった韓国演奏旅行が、いつか確かな日韓友好の架け橋となってくれることを信じて、「生徒の横顔・その2」をお届けします。
                  (2012.11.18)