謹んで震災のお見舞いを申し上げます。
 
 平成23年3月11日の東北地方太平洋沖地震及び長野県北部 を震源とする地震で被害を受けられ た皆様に心より お見舞い申し上げます。
   私達学校関係者も、千年に一度という大惨事に対して心を一つにして、被災者の方々の今後の救援に取り組
んでいきたいと思っております。
  
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 松風塾生の横顔  その1

                       理事長 田澤昭吾

  前回二回に亘って生徒達の作文を紹介したら、感動したという読者の声を聞くことが出来ました。
 私は、学校で「宗教」の授業を受け持っています。私の授業では、視聴覚教育も心の教育の大事なプログラムとして組み入れ、ビデオやDVDを教材にしています。
(生徒に是非見せたいというのがあれば、ご紹介ください)
  鑑賞したあとは、必ず感想文を書いて貰います。感想文からは、生徒達の心が伝わってくるからです。
 内村鑑三著「後世への最大遺物」には、後世に遺すべき一つとして「文学・思想」を取りあげています。その中で、「文学というものはわれわれの心のありのままをいうものです」「私はこう感じた、私はこう苦しんだ、私はこう喜んだ、ということを書くならば、世間の人はドレだけ喜んでこれを読むか知れませぬ」と書かれています。生徒達には、この内村鑑三の文学に対する心構えを説き、感想文を書いて貰っています。
  感想文から、松風塾高校で学んでいる生徒達の心の姿の一端を知って貰えれば幸いです。
  今回は、映画「硫黄島からの手紙」の感想文の中から紹介します。
  映画「硫黄島からの手紙」は、「アカデミー賞受賞監督・クリント・イーストウッドが描く、日本から見た硫黄島」です。「第二次世界大戦中、アメリカの侵略から母国を守るため、死力を尽くし戦った日本兵士たちの、これまで語られることのなかった物語」です。渡辺謙が演じる栗林忠道中将を中心に、「戦場における兵士の勇気、情熱、そして、尊い犠牲」が描かれています。DVDに映画の解説として記されている一文から拾ってみました。以下、生徒の感想文です。
   「戦争中、日本にいる母のため、まだ見ぬ子のために死を選んだ人達が多くいる。その人達が、今の私達に何を残したかったのか。今の日本にどんな希望を託したかったのか、今の青年は考えなくてはいけない。命を掛けて祖国を守ろうとした人達に思いを寄せることのできる自分でありたい。先人に習い、断乎たる決意を持って、残り少ない松風塾の生活で、もっと日本に触れれる自分でありたい」(N君)
   「多くの人々が日本のために全力を尽くし、守り、今がある。その今をどう生きるかを考えさせられた」(T君)。
   「硫黄島で戦った人達に、日本のために戦った人達に、特攻死した人達に手を合わせ、黙祷を捧げることなど、ここに来るまで知らず、そのような人達がおられたなんて少しも知らずにいて、私は日本人なのに何てことをと悔いました。もっと日本のことを知りたい」(Y君)。
   「日本のために命を投げ出す兵士たちの姿に感動を覚えました。私は今、受験で忙しく、辛いと感じることがありますが、戦争当時と比べれば、比較するに価しない位でした。これからは、どんなことにも辛いと感じないで生きていこうと思いました」(K君)。
   「今回の映画は日米両軍の真実を描写した、客観的視点を欠くことのない作品だと思います。硫黄島へ行った兵士たちが、徐々にバラバラになっていき、仲間割れをしたり、米兵を残酷な殺し方をするなど、当時の状況がリアルに再現され、戦争の側面を見た気がします。また、栗原総指揮官が最後の奇襲攻撃の時に言った『君たち(兵士)の勇敢な精神に日本国民が感謝をする日がやってくるであろう』という言葉は、今日の日本人訴えかけているようにも聞こえました。」(I君)
   「国のため、戦い散った男たちの熱い気持が伝わってきた。『国のため』と言っている男たちも家族のことを思い、それを手紙という形で残し、伝えたのだ思った。アメリカ兵も日本兵も家族への思い、家族からの思いは一緒なのだと思った。硫黄党に一度行ってみたいと思いました」(Hさん)。
   「硫黄島の兵士たちがいろいろな思いを抱えて戦い抜いていたことを知り、今の時代に生まれ、不自由なく生活出来ていること、そして、戦死した兵士たちに感謝されました」(Sさん)。
   「戦争は絶対あってはならないと思いました。世界はまだ平和とほど遠い現状が続いていますが、私は、まず身近かにいる人に優しく思い遣りをもって接していきたいです」(Oさん)。
   視聴覚教育は、宗教教育にとって効果的なプログラムであり、人間の感性に呼びかけるには言葉より影響力が強いと習いました。まさにその通りだと、生徒の感想文を見て、その都度感じてきました。感想文からは、今失われている日本人の心を見る思いがしています。
  本校5期生に陸上自衛隊に勤務している卒業生がいます。ある年の同窓会に、彼も出席しました。当時、彼は、硫黄島に駐留する自衛隊に派遣されていました。その時、こんな話を聞ききました。
   今上陛下が皇后さまとご一緒に硫黄島に行かれ、戦没者に慰霊の真心を捧げお祈りされました。その真剣にお祈りされる両陛下の後ろ姿には襟を正される思いで、一層の緊張感が全身を走ったそうです。そして、両陛下が帰りの機上の人となった直後に、先ほど陛下がお祈りされた辺りから天に向かって光が走って行ったというのです。お見送りした自衛隊員は皆、「慰霊島に眠る戦没者の御霊が、両陛下をお見送りされている」、そして「天に昇り、天に帰って行かれた」と感激・感動の涙に濡れながら、両陛下をお見送りしたそうです。
   次の事も聞きました。硫黄島に駐留する自衛隊員の宿舎には、毎晩、兵士の靴音と軍馬の足音が聞こえていたそうです。四方に塩を盛った皿を置き浄めても、一向にその音は止まなかった。ところが、両陛下が硫黄島でご慰霊の祈りを捧げられたその夜からは、その靴音と軍馬の足音が聞こえなくなったというのです。「今上陛下の真心に戦没者が慰められ、天に昇り帰って行かれた証しだ」と、宿舎の隊員は口々に言ったそうです。感動して、彼の話を拝聴しました。 
   その後、「日本会議青森県支部発会式」が行われた際、本部事務局から派遣されてきた職員が、挨拶の中で今上陛下が戦跡地慰霊巡拝で硫黄島を訪問された際の出来事について話しました。その時も、自衛隊員の彼が話したと同じように、硫黄島に眠る戦没者が今上陛下の慰霊祈願の誠心に歓喜するかのように、両陛下が特別機でお発ちになった際、光となって天に昇って行かれたと話しました。参集者は、皆感嘆し、深い感動に誘われていました。
  日本の繁栄と平和を願って散っていった英霊の御霊に恥じない生き方をしなくては、と心を新たにさせてくれた生徒の感想文を通しての思いを述べてみました。
                                      (2012.11.5)