謹んで震災のお見舞いを申し上げます。
     
 この度の東北地方太平洋沖地震及び長野県北部 を震源とする地  震で被害を受けられ た皆様に心より お見舞い申し上げます。
        私達学校関係者も、千年に一度という大惨事に対して心を一つにし     て、被災者の方々の今後の救援に取り組
んでいきたいと思っておりま     す。
  
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心の陶冶のために (11)
            
                                         理事長 田澤昭吾


       
新たなる時代の波をけやぶりて         教え宣べき教徒は起て        
 
                                                (大和山神歌388番)

                     理事長 田澤昭吾

 すべての宗教の教祖は、神秘的体験を経て、聖なる世界と一体となって蘇生・再生したカリスマ的人物である。そうして誕生した教祖は、俗なる世界の価値を否定し、俗世界に聖の価値に実現しようとする倫理的使命感を自覚する。そして、その教祖の聖なる世界を共有する人々によって宗教集団は誕生し、その同士等は教祖と共に俗世界に聖の価値を実現し、浄化してゆこうとする。そして、そこに自己実現の道があると確信し、教祖と共に歩んでいく。すべての宗教集団は、同様の価値観を内蔵させ活動し、それを支える信者の意識も同様な精神の発露を生きがいとしているといえよう。それは、大和山とて同じであると思う。
 初代教主さまは、宗教者は常に時代批判の精神を持っていなければならない、と説諭下されていた。それは、教祖さまのご精神を継承した宗教者の姿勢でもあられた。
  戦後60数年経た今の日本は、物欲と利己主義による人心荒廃の危惧が叫ばれて久しい。それは、日本人の心に神仏を尊ぶ畏敬の念が薄れたからだと指摘する宗教者の声も高く叫ばれてきたが、その声が広く社会に浸透するまでには中々いかず、まだ機が熟していないのかと、憂慮されもした。
 しかし、良識ある日本人は、今こそ日本の建て直しを図らなくてはならない時だと、憂国の思いを吐露し続けているのも事実である。現況の俗世界に、聖の世界を実現化していく働きこそ、今を生きる日本人の急務であると、本気で思って生き続けている。
 東日本大震災で全国各地、いや世界各国から寄せられている罹災者への支援活動の声は、人間の善意の素晴らしさを、感動と共に体感させてくれている。今日5月30日の朝6時30分頃のNHKのニュースでは、宮城県でボランテイアとして「カフェー活動」と称し、手作りの食事を提供して地域の罹災者を元気づけている女性が紹介されていた。温かい手料理は、罹災者の心も充たしていた。その彼女は、「不幸を不幸のままにしないで、幸福にしていけば良い」と言って活動を始めたと、活動の動機を述べていた。
   思わずその言葉に引き込まれ、「平和は一人ではできない。しかし、一人がはじめなければなにもできない」という姿をそこに見る思いだった。
 今日の夕方、青森から学校へ車で帰る途中、NHK第一のラジオ放送で海外に住む日本人が東日本大震災に支援活動している様子が紹介された。ロンドンに住む音楽家・アーティストだった。日本の被災状況がテレビ放映されているのを見た彼の友人達は、「何か自分達で協力できることはないか」と、イギリスの仲間は勿論、フランスから、アイルランドから、アメリカからと、再三連絡が入ってくるという。あるアーティストは、使っていない漁船を集めて日本の被災地に送ろうとか、等々、今自分達でできることを必死に探しているというのだ。東日本大震災は、日本の大惨事だが、その痛みは世界の痛みとなっていることを、そのラジオ番組は語っていた。目頭が熱くなった。
 ロンドンに住むその彼は、仲間のアーティスト達と日本の民謡をオーケストラで演奏し、自らが尺八を吹き、そして、自らが歌いレコーディングした。その曲に、「勇気と希望よ、届け」とばかりの願いを乗せて、ロンドンから日本の罹災者へに届けてくれた。その曲が、解説と共に放送されていたのだ。只々感激した。
 東日本大震災は、日本国内は勿論、世界各国の人達に「思いやり」の心を覚醒している。これこそ、すべての教祖が俗世界に聖の価値・道徳律を実現化しようとする倫理的使命感に奮い立ち、宗教者としての道を歩もうと蘇生したのと同じ現象が、今日本に、世界に誕生している。 このような倫理的使命感の振起こそ、現代を生きる宗教者の使命であろう。
 私達も、教祖さま出現の意義をたずね、教えを高く掲げて、新しい世の道標を示す人とならなくてはなるまい。
 今、教団は、教主さまが先頭に立って指揮し、東日本大震災の支援活動を続けている。そこに、今自分にできることを見出す一人でも多からんことを願いたい。
  大和山神歌
   新たなる時代の波をけやぶりて
            教え宣ぶべき教徒は起て
                   (2011.5.30)