国家に対する忠誠心が世界で一番低い日本  

  明日からテストですね。頑張りましょう。先生方は、皆さんの実力が高まっていくように工夫して問題を作っていますので、その期待に応えていくよう精一杯勉強して準備し、試験に臨んで下さい。
 高校時代に教師の熱意に生徒が応えようと頑張ったことは、やがてそれが将来の力になり、青春時代の誇りとして、自分を支えていくようになっていきますから、そのつもりで勉強して下さい。その学んだことを通して、世の中の役に立っていこうという志を持って勉強して下さい。ただ点数だけ高得点をとれれば良いというのでは、松風塾の精神とは違ってきます。学ぶことを通して、社会の役に立つ人間になるんだということが、松風塾で学ぶ一番大切な精神です。こうして三年間真剣に勉強したということが、一番力になっていくと思います。
 今国会で問題になっていることは、憲法九条の解釈と改正に関する話題です。
憲法九条の解釈や改正についての話題は、戦後に、憲法が制定されてから一番賑やかに話題が取り上げられていると思います。
 具体的には、集団的自衛権の問題です。その解釈を巡っては、閣議決定した案を国会で協議するという方針で進めているので、まず議会で審議する方が先だろうという野党の声が、侃々諤々の勢いで飛び交っています。
 今日は、そういうことを踏まえながら、五月二十四日の産経新聞に、「中高生のための国民憲法講座」に掲載された内容についてお話しさせていただきます。
 この記事では、国家に関連する問題について、「日本人の常識は世界の標準的な考え方と距離があるようです」と提起されています。それは、「愛国心」をめぐる問題です。例えば、「愛国心教育を学校教育で行うべきか否かについて」は、反対意見があります。その反対意見の根拠は、次の二点です。
 Ⅰ愛国心は心の問題だ、心の問題について教育で強制することはよくないことだ。
 Ⅱ愛国心教育を教師に強制することは、教師の思想・良心の自由に反する。
 さて、英語の「パトリオティズム」は、愛国心と訳されています。日本語の愛国心は「祖国愛」を意味しますが、英語の「愛国心・パトリオティズム」は、祖国愛を基礎としながらも、国に対する忠誠義務、忠誠心を含む言葉として使われているというのです。
 祖国を愛するだけでなく、この国に対して私は忠誠義務、忠誠心を誓います、という意味合いが込められているというのです。
 二つ目は、日本語の愛国心というのは祖国愛ということで、それ以上の義務や忠誠心というものは含まれていないというのです。ここが大きな問題点です。
 日米安保条約をめぐって一九六〇年と一九七〇年は、学生運動が世の中を随分と喧噪にしました。六十年は日米安保条約の期間を十年間更新する内容のものでした。七十年に更新した日米安保条約は、どちらかが日米安保条約を破棄しますと言えば、一年後に条約は破棄されるという内容のものです。
 日米安保条約反対運動と連動して、憲法九条の問題が浮上し、自衛隊は違憲であるとか、日本は再び軍国主義への道を辿るのかという極端な声があがったような気がします。
 これらの議論は、いつも二つに意見が分かれ、多くの学生及び社会党系の人達は、非武装中立論を唱えていました。また、当時は、ソ連の北海道侵攻がまことしやかに言われた時でもありました。ソ連が北海道に攻め込んできたらどうするんだとも言われた時でもありました。 そして、ある新聞社が、学生を対象に、もしソ連が北海道に攻め込んできたら、あなたはどうしますか、というアンケートを取ったら、白旗を揚げて逃げるという結果が多かったということが話題になったことがありました。創立者田澤先生は、「こんなことで日本を守っていくことができるのか」と、講演で喝破していらっしゃったこともありました。戦わずして治める方法を取ります、というのもあったのかな。これは、白旗をあげて降参するということです。
 千代誠子先生のご主人は、松風塾高校四期生で、卒業後自衛隊員になったんですよ。そこで、ソ連が攻めてきたらどうしようと真剣に考えたそうです。そして、ソ連が攻めてきて北海道に上陸したら日本が危ないから、戦車を稚内に持って行って、ソ連兵が侵攻してきたらそれを阻止するために戦う、と決意していたというんですよ。私はその話を聞いて感動しましたよ。日本男児はそうでなくちゃ。
 さっきの記事の中に、世界の青少年に対して愛国心について意識調査をした結果が記されています。そこに興味深い内容があります。読んでみましょう。
 第一の問いは、「あなたは今度生まれることがあるとすれば、もう一度自国に生まれたいと思いますか」というものです。
 第二の問いは、「あなたは敵が自国に攻めてきたときに武器を持って戦いますか」というものです。
 第一の問いは祖国愛を問うものですが、第二の問いは国に対する忠誠心を問うものです。
 日本の青少年は、第一の問いに対してはアメリカやカナダ並みの高いランクにありますが、第二の問いに対しては世界最低でした。日本の青少年は、祖国愛は強いものの、忠誠心は世界最低ということになります。
 こういう結果に対して、「日本の学校教育においては、国家に対する忠誠心についての教育
は皆無に近い状態にあるからです。因みに、アメリカにおいては、学校において『国旗と国家に対する忠誠心の誓い』が行われている」と、筆者・長尾一紘氏は述べています。
 日本は、昭和二十年八月十五日にポツダム宣言を受諾し連合国軍の支配下に置かれてから、学校教育の場で国家に対する忠誠心は教えられなくなりました。その結果が、今の意識調査の結果となっている要因です。もし敵が攻めてきた時に、敵から同胞や家族を守るという意識を教えないと、日本という国はどうなってしまうんでしょうね。
 アメリカが国旗と国家に対する忠誠の誓いを必ず小中学校で行わせているというのは、西洋諸国及び世界の国々では通例だそうです。日本だけが特異な国になってしまっているのです。「日本の常識、世界の非常識」とよく言われますが、それは決して、今も将来も日本にとってよい方向へ行く道しるべとはなり得ません。祖国愛を持ち、国家に対する忠誠心を持つことは、世界各国にとって国民教育として基本的なことなのです。日本は、ここらで本来の国の形を取り戻すべきです。
 近・現代国家の国民としての責務は、国家に対する忠誠心であり、それが民主主義社会の条件でもあるというのは、今や世界の常識なのです。
 配付した資料には、ホッブスとルソーのことが書かれています。
 ホッブス(近代政治学の祖)によれば、国家は国民に安全を与える。これに対して国民は国家に忠誠義務を負う。
 ルソー(民主主義思想の祖)は、人民の政治参加の条件として愛国心を挙げた。
 先日、国会で安倍首相に対して民主党の岡田克也氏が質問し、その応答で議論をしているのをテレビで見ました。集団的自衛権についてです。
 岡田氏は、「あなたは、自衛隊に日本国民を守る以外に血を流せというんですか?」と安倍首相に質問していました。それに対しての安倍首相の対応の要旨は、次のようでした。
 現法の自衛隊法では、海外で働く邦人が突如テロリストに襲われても、そこは危険区域でないと、自衛隊は発砲し救出できないことになっているので、アメリカ軍に頼んで救出して貰うしかないのが現状です。アメリカ軍がテロリストに応戦し、戦ってくれていても、自衛隊は一緒になってテロリストに応戦することができないのです。そんな、理不尽な法律に縛られていても、自衛隊の人達は命をかけて国民を守ろうという崇高な願いをもって働いてくれているのですよ。申し訳ないと思います。そうした事例に対して、日本だけが助かっていれば良いというのではなく、同盟国として責任を果たせる法律の見直しや解釈の仕方を再考すべきであるというのが集団的自衛権の問題です。
 この安倍首相の答弁に私は納得できましたが、岡田氏はなかなかのようでした。
 日本は今、こうした防衛問題にしても新たな形を作っていく過度期に立っている時でもあります。皆さんも、配付した資料を読みながら、考えて下さい。
                               ( 2014.06.13)