国際社会で生き抜く日本の道は何か

 今日も皆さんに、朝会の資料を配付しました。朝会の資料は、朝会ノートに貼るなどして、あとでじっくり読んで下さい。時代の方向性とか、また自分自身の内面性を見つめる糧になるものをと思って用意しています。そのつもりで保存し、活用して欲しいと思います。
  先週の朝会では、ソチオリンピックの話題を少し話しました。あの真央さんがショート・プログラムで失敗して、十六位という結果でしたね。身体が動かなくて、本人もなんだか分からなかったと言っていました。でも、フリーでは、今までに無い最高の演技をして、十六位から一気に挽回して六位に入賞しました。プレイが終わった後の演技に、すごい拍手が会場から沸き起こりました。テレビの前で、私も拍手を贈っていました。報道によると愛知県の真央さんの母校でも、夜中の二時に学校に集まって後輩達が応援していました。フリーで真央さんが成功したのを、皆で祝福していました。日本中が、ソチオリンピックの日本選手の活躍で活気づいている、と感じられるほどです。皆さんも、日本中がソチオリンピックで真央さんなど選手が活躍し、沸き立っているということを覚えておいて下さい。
 今日は、国会で集団自衛権の問題などで議論が錯綜していますので、これらの問題について話したいと思います。
 まず、一番目として、安倍首相が靖国神社に参拝したことがアメリカからも注意を促す意見が出されたことがありましたが、どうしてこういう流れになったのだろうかと自分なりに整理してみました。
  松風塾高等学校を開校する動機は、創立者田澤康三郎先生が東京帝国大学大学院の宗教学研究室にいらした終戦後の昭和二十年後半に、恩師の岸本英夫先生が連合国軍総司令部・GHQへ連絡員として出入りしていた頃、研究室にいた若い研究者に、占領政策の意図が那辺にあるのかということについて話され、占領政策の歪みが日本にどのように現れてくるかという意見を述べられました。その占領政策の歪みから生ずる日本の危機について岸本先生は、「占領軍の中心勢力であるアメリカは、少なくとも三十年は占領するつもりだ。そして、この三十年間に日本は、アメリカかぶれしてしまうであろう。その時が日本の独立の危機だ。それがために、われわれ宗教を勉強した者は、三十年先の日本のために準備しよう。そのためには、英語を勉強し直し、同時に日本の宗教と文化を勉強して、日本の文化を英語で語る能力を備えよう。今は、敗戦の混乱期で宗教学者の出番はないが、三十年先には必ずその時期が来るから、その時には、学問の立場で日本の宗教を守るか、宗教者は民衆と共に生き、生活の具体的な場で、日本の宗教者はこのように生きるという生き様をもって立証する実践の立場で日本の宗教を守るという、これらのいずれかを取ろう」と述べられました。このことをお聞きになった田澤康三郎先生は、今の岸本先生のお話を、「終戦後の日本の真の危機は、三十年先にやってくる」と聴き取られ、ご自身は、後者の日本の宗教者はかくあるという実践者の立場で日本の宗教・文化を守ろうと決意され、御尊父である教祖さまの元へ昭和二十一年五月十五日にお帰りになりました。これらのことは、皆さんは、既に一年生の一学期前半で学び、理解していると思います。
  さて、日本の占領政策の歪み、危機は、どう現れて来るかというと、日本人の精神の風化でした。具体的には、日本の民族精神が日本人の心から失われてしまい、日本人の内面の世界が崩壊の一途を辿るということです。それが、日本独立の危機だということです。創立者田澤先生は、こうした日本の危機を克服し、日本人の伝統的な精神文化を守って精神の混乱を防御し、混乱を打開していく青年を育成したいという願いを持って教祖さまの元へお帰りになったのです。このことは、皆さんも知っての通りです。
  明星大学教授の高橋史郎先生の著された『占領下の教育改革と検閲』には、「米の戦後対日政策の基本目標は、一九四四年五月四日付の「日本・日本に関する合衆国の戦後目標」(PWCー108b、CACー116b)と題された文書の中に、明確に表明されている」と記されています。その戦後対日基本目標とは、「日本が米と他の太平洋諸国に対する脅威となることを防止」し、「日本に、他国の権利と国際義務を尊重する政府を確立すること」とあるというのです。
 こうして、日本が再びアメリカを始め太平洋諸国の脅威とならないような国となるように、国益より他国の権利と国際義務を尊重する政府となるように占領政策が進められて行ったのは、一九四五年九月二十二日に発表された「降伏後におけるアメリカの初期の対日方針」に示されたことで始められました。そしてマッカーサーは、マッカーサーノートに基づいてGHQ民政局に九日間で、日本国憲法の草案を作成させたのです。
  マッカーサーノートは次の三つの項目でした。
一つは、天皇を国家元首とすること、職務と権限は憲法によって規制すること、です。
二つ目は、国家の主権としての戦争を放棄すること、紛争を解決するための手段としての戦争を放棄すること、及び、自己の安全を保持するための戦争も放棄すること。(そのために)いかなる日本陸海空軍も許されないし、いかなる交戦者の権利も日本軍には与えられないこと、です。
 三つ目は、日本の封建制度を廃止すること、です。
 これが日本国憲法制定の根幹をなす指針とされ、日本国憲法の草案が民政局によって作成されたのです。民政局での草案作りでも、さすがに二つ目の「自己の安全を保持するための戦争も放棄する」の一文は削除されました。その結果、「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」という文言で憲法九条に明記されたのです。そして、第二項として芦田修正である「前項の目的を達成するため」が加えられ、「前項の目的を達成するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」となったのです。ですから、憲法九条は、国際紛争を解決する手段としての戦争を放棄し、及び戦力を持たないとしたのであって、自衛のための戦争と戦力は放棄していないと解釈したまま民政局及び極東委員会が認め、成立することになったのです。それがために、極東委員会では草案作成の最後の段階で、文民条項である憲法六十六条二項に、「内閣総理大臣はその他の国務大臣は文民でなければならない」という条文を入れさせたのです。日本が非武装国家であれば、この条文は必要なかったのです。しかし、憲法九条は自衛のための戦力を認めたものとして解釈したから、極東委員会は最後の段階で軍部の台頭を防ぐために、文民統制による軍隊の指揮系統をここに明記させたのです。
 日本国憲法の成立は、マッカーサーノートによってその基本方針が示され、民政局で草案を作成し、成立過程においては極東委員会の管理の下、占領下に置かれた日本国政府の名の下で成立させられたのです。こうして日本国憲法が制定されたのです。
 今日配付したプリントは、「近隣諸国条例」に関する資料です。これは日本の教科書検定の基準とされるものです。その内容は、「近隣のアジア諸国との間の近・現代的な歴史的事象の扱いに国際理解と国際協調の見地から必要な配慮がされていること」となっています。
 つまり、日本の近隣国である韓国や中国の気に障るようなことを教科書に書けば駄目だということです。
 これは、昭和五十七年の教科書検定で、当時の文部省が、中国華北への日本の「侵略」を「進出」に書き換えさせたと報道されたことがきっかけで成立させた条項です。
 但し、教科書の「侵略」を「進出」に書き換えさせたというのは?でした。何も書き換えていなかったのです、実際は。新聞報道が誤報だったのです。しかし、それを見た中国と韓国は強く反発し、外交問題にまで「教科書書き換え事件」が発展してしまったのです。そこで、中国、韓国との沈静化を図ろうとして教科書検定基準に付け加えられたのが、この「近隣諸国条例」なのです。
 考えてみれば、日本の大手新聞社が、どうして当時の文部省が中国華北への日本の「侵略」を「進出」に書き換えたと報道をしたんでしょうね。事実確認もしないで、誰の風評を信じて、公器ともいうべき新聞に掲載してしまったのでしょうね。大手新聞社各紙がどうしてこんな軽薄なことをしたんでしょうか。
 後日、誤報だったと訂正とお詫びの記事を載せたのは、産経新聞のみだというから、又おかしな話だと思います。
 結果、この「近隣諸国条項」を作ってしまったから、これを盾に教科書に歴史的な事実が正しく記述できないようになってしまいました。日本の教科書ですから、歴史の視点は日本の立場から他国との動向を見るのは当然ですよ。例えば、安倍首相が靖国神社へ参拝したことが報道されれば、中国、韓国は、すぐさまA級戦犯が祀られている靖国神社へ参拝するのはあの大東亜戦争を肯定するからだと騒ぎ立てます。日本の首相が、日本の神社に参拝するのに、他国からとやかく言われる筋合いはないと思うのです。何かしら腑に落ちない今の日本の立ち位置です。
 それからもう一つの話題として、戦後の一九四五年十月二十四日、国際連合が発足しました。この国際連合憲章の五十三条、百七条には、国際連合の加入国同士はお互いに喧嘩しないようにしましょう、もしそういう事態が起こりうるような時には安全保障理事会の常任理事会で決議し、その了解のもとで相手国と戦いましょう、という趣旨のことが書かれています。
 但し、旧敵国であった国がもし出過ぎた行為をしたら、もう一度侵略するような行為をするようなことが見られたら、それを防止するために安保理の許可が無くとも即刻武力を持ってその敵国に対して攻撃を防止するために攻撃しても良いという内容も書かれているのです。それを、旧敵国条項と言います。
 国際連合国側では、旧敵国条項は死文化していますと言っています。それに、日本もドイツもイタリアも国際連合に加盟してますし、特に日本は国際連合に寄付している国の中でも二番目に寄付金が多い国です。ですから、この条項は死文化しているのですから、必要以上に気にしないで下さい、ということで今日まで来ています。
 しかし、二年前の九月に安倍首相は、中国が尖閣諸島周辺の領海に侵入を繰り返した事に対して遺憾の意を表したら、「お前達第二次世界大戦の敗戦国が、戦勝国の領土を再び占領するなんてもってのほかだ」と演説したんですよ。これは、ゆゆしき問題ですよ。敵国条項をもって、尖閣諸島は中国のものだと言うのですから。
 中国は、日本の領土・領海を自国の領土・領海だと言い張って、国際連合憲章の敵国条項を盾にドンドン攻め込んできているかのように私には見えてしかたがないのです。中国は、日本にドンドン領海侵犯し攻め込んできて、日本は国際連合憲章に記されている敵国なんだから、再び他国の領土を侵略するようなことをすると容赦しないぞ、と勝手なことを言って攻め込んできているのですから。
 アメリカは、過ぐる対戦の戦勝国連合国軍の主導国で、マッカーサーを連合国軍最高総司令部の最高司令官にし、東京裁判を実行させました。そして、満州事変、支那事変、日米戦争及び太平洋戦争を日本の侵略戦争であると裁き、大東亜戦争の終止符を打ちました。戦後世界は、その流れで今日まできていますし、それによってアメリカは日本と正義のための戦争をし勝ったのだということを形作って今日までの戦後史を綴ってきています。だから、日本人すべてを焼き殺そうとしたB29による日本全土に亘る空爆を繰り返し、三十万という無辜の民を殺しても、また、広島、長崎に人類初の原爆を投下し、一瞬のうちに十数万の民間人を殺戮し、その後遺症で今なお病床で無辜の民が苦しみ続けていることも、アメリカは正義の戦争をし勝利したのだ、先の犠牲者は日本が悪なる戦争を仕向けてきた結果のことである、米国軍によって殺された犠牲者は日本軍の侵略戦争によって犠牲になった人々であるとされて来たのです。しかも、今日までその虚偽があたかも正義のごとくに信じられ続いているのです。「勝てば官軍、負ければ賊軍」との謂われる如くに、日本の大義と真実が隠蔽されたまま、戦後七十年近くも過ぎようとしているのです。
 中国の主張を聞いていると、日本を敵国条項に組み入れた発言をしているとしか思えないことが、中国要人の海外での発言から感じます。アメリカには東京裁判史観から脱却した発言はできないでいるということがひしひしと感じられます。その意味では、アメリカと中国は、連合国軍同士の同盟国なのですね。
 そういう視点で米中関係を見ると、非常に緊張した状況の中に、今日本は置かれていると感じます。
 将来の日本は、皆さんが背負うしかないのです。目先のことで一々自分を惑わせないで、大義をもって、視野を広くし大きな夢を持って、この日本をどうしていくかと考えながら、力をつけて行くように勉強して下さい。
                         (2014.02.21)