「日本がもっと好きになる」に学ぶ
                              理事長 田澤昭吾
   「日本がもっと好きになる」の小冊子が、学園理事の三上利夫氏から送られてきた。発行所は「あなたと健康社」。同社主管の東城百合子さんが、同誌発行のねらいを巻頭言に次のように記してあった。
   「ある日、『日本人の留学生は、自分の国の歴史も知らず、祖国を愛することも知らない』と驚く外国人に巡り会いました。私はその話を聞いて空恐ろしいというより胸が痛くなりました。それは、我が国の伝統の歴史は忘却され、愛国心も民族の誇りも忘れた日本人が続々と育ち、信じられないような事件が起こるようになった事とは別ではない。
  歴史は人がつくる。それは私達の先祖が生きてきた道。
  私は次の時代を背負う子供達にどうしても生きた“日本の心”を知って欲しい」。
   戦後日本の様相を憂いた一文として共感した。
  冊子はA5判の34頁で、「T・素晴らしい日本人の生き方を取り戻すために」「U・これだけは知っておきたい日本の歴史」「V・これからの日本人へのメッセージ」の三篇から編まれている。
   心に滲みる小冊子だったので宗教の時間に生徒に配布し、感想文を提出して貰った。それを紹介しよう。 
    「日本は、戦争に負けたことによって敷かれた連合国軍総司令部の占領政策で、日本の神話が教育から排除されたことを知りました。ドイツの歴史学者ランケは、『その民族を滅ぼすには、まずその歴史を抹殺し、次に別の歴史を作ってこれを信奉させることだ』と言っています。今の日本は、まさにそのようになってきている、と怖くなりました。
  松風塾は、この危機を打開するために開校されたと宗教の授業で学んできましたが、この本を読んで一層私達松風塾生の使命を強くしました。同時に、今、日本人としてこうして生きていることが、尊くも感じることができました」。
                                                                     (三年女子 S・Y)
   同著には、取り戻したい日本人の精神として、「お天道さまをいのちの根源として大切にしてきたこと」「家族が全員揃って食卓を囲んで食事をしてきたこと」「職場では物を大切にし、誠実に働くことが大切であることを師匠から弟子へ、先輩から後輩へと伝えてきたこと」「私達の先祖は、世の中をよくするため、他人の役に立つという公共心を養ってきたこと」「武道・茶道・華道・書道などの芸道など伝統文化の世界では、礼儀作法が重んじられ、人としての道が説かれ、日本人としてよりよく生きることが教えられてきたこと」などが、記されていた。
   これを一読した生徒  (二年女子 A・S)は、
     「私達の先祖は、よいものを継承し、それに工夫を重ねて、技を磨き、心の修養に努め、徳を高める生き方をしてきたのに、現代の日本は、機械化に頼り過ぎて、本来の繊細さが失われています。その失われた日本人の知恵を取り戻すために、一分一秒でも本来の知恵を生かせる世の中にしていきたいです」
と、感想を述べている。
    生徒の心は素直で純粋だと、感想文から実感させられた。
   日本は、昭和27年4月28日、サンフランシスコ講和条約が発効され、今年で61年目を迎えた。そして、今年、初めて政府主催の「主権回復・国際社会復帰を記念する式典」が開催された(「主権回復の日」の記事は、「田澤昭吾HP・理事長雑感」を参照)。この記念式典を期に、日本は、21世紀の今をどういう国家像を描き、世界に貢献していくべきかを、国民一人一人が真剣に考えなくてはならないと思う。
  この視点から生徒の作文を見たら、本校生徒の気骨が嬉しくもあり、頼もしくも感じた。
                                                    (「むすび」平成25年7月18日号)