泥中に咲く白蓮華 
          ー混沌する世界と日本に見る感動の教育ー
                           
  平成24年・2012年は、世界の指導者が新たに選ばれた「変化の年」であった。
  1月には、台湾総統選で国民党の馬英九氏が再選した。3月には、ロシアの大統領選挙でプーチン新大統領が返り咲いた。4月には、フランスの大統領選挙で、現役のサルコジ氏敗れて最大野党の社会党・オランド氏が新大統領就任した。6月には、中東の盟主・エジプト大統領選挙が行われ、ムハンマド・モルシ氏が新たに就任した。そして、11月には、米国大統領選挙で民主党のオパマ氏が再選され、大統領続投となった。北朝鮮では、金正恩氏が父・金正日総書記の死に伴い新総書記に就任し、韓国では12月19日に大統領選挙が行われ、新大統領が誕生する。
  日本も12月16日に政権交代を賭けた衆議員選挙が行われる予定で、同月四日の告示前にすでにテレビは各党の政策論争で賑やかである。各党の動きもまるで合従連衡を絵に描いたように展開している。
  日本も含め、世界は国の指導者「チェンジ」の話題で一喜一憂し、明日の世界の行方に期待と不安が入り交じりながら過ごした一年であった。
  特に日本は、戦後始めてと言ってよいほどに領土問題(尖閣諸島問題、竹島問題、北方四島問題)が国民の前に提示され、一人ひとりが真剣に考える機会となった。また、地獄絵図を描いたような残虐な殺人事件が連日のように報道された。中学生のいじめによる自殺事件も幾度となく報道され、その対策が急務の課題として浮上してきた。 これらの事件は、禽獣の如くに化した人間の姿を浮き彫りにし、これほどまでに心の荒廃が危惧された年も、近年にはなかったのではないかと思う。人間とは何かということが問われていると実感する。
  こうした荒廃した状況化に立たされた時、純粋な心が人の心を洗い、生きる力と勇気を与えてくれるものだ。最後の稿は、読者が少しでも心を洗って欲しいと願って、本校生徒の作文を紹介する。
    最初に紹介するのは、平成24年4月に入学した一年生の作文「今の私ー初心ー」である。  
  「私は、精神的に成長する爲に松風塾高校に入学しました。ても、精神的に成長する爲に何をすべきなのか、理解できていなかったように感じます。
    今は作法や申告の仕方などを覚えるので精一杯です。学校での授業、そして、寮生活での気の配り方などで、気の休まる時は寝ている間だけという感じです。しかし、こうした生活の中で、明らかに今までとは違った自分を見つけ出し、少しでも成長できるということを確信しています。まだ、入学してわずか十二日ですが、もうすでに変わってきている自分に、自分自身が驚いています。正直なところ、楽しいというより不安の方が大きいです。でもここに集まった十人が誰一人欠けることなく卒業したいです。みんなと一緒に最後まで頑張ろうと思います」。(女子 T・T)
  清々しい作文でしょう。彼女は今、後期の生徒会役員改選選挙で副会長に立候補し、当選しました。松風塾生徒会をこれまで以上に活性化させてくれるものと期待しているる。
    もう一人、2年生の青森定期演奏会を終えての感想文を紹介する。
    「私たち38期生は、これまで『青森定期演奏会を成功させよう!』と全員が心を合わせて頑張って来ました。もともと音楽が得意でなかった私ですが、それでも良い音を出そうと、日々一生懸命に練習をしてきました。その結果を、演奏会当日のリハーサルで弾く音色から感じることが出来ました。奏でる音が弾んでいるように聞こえ、音も伸びているように感じたのです。嬉しかったです。
  周りを変えたいのであれば、まず自分が変わらななければ変わらないと言われますが、私は自分がそのキッカケとなれるように、今の状態に満足せず、これからも常に向上心を持って頑張っていきたいと、定期演奏会を終えて強く思いました」。 (男子 S・T)
  生徒達の作文は、泥中に咲く白蓮華の様な感動を私に与えてくれています。
                        (平成24年12月20日号)