その4  憲法改正について

  憲法は、時代と共にその時代のニーズに合わせて改正されていくべきものだと考えます。永遠不変な憲法を保持している国は、世界中どこにも存在しません。
  現に、現在の自衛隊は、昭和二十五年六月に勃発した朝鮮動乱をきっかけに、マッカーサーの指示によって編成された警察予備隊が前身です。そして、サンフランシスコ講和条発効後に保安隊に改称され、同二十九年に自衛隊となりました。それから自衛隊は、アメリカの援助・指導のもとに次第に内容を充実させ、軍備を整え、現在に至っています。
  これは、朝鮮動乱をきっかけに顕在化したアジアの共産化を防ぐために、アメリカが、自ら非武装化した日本を、警察予備隊、保安隊、自衛隊へと再軍備化させていった経緯です。
  戦後世界は、アメリカが日本に原爆を投下し、強力な兵器を保持したことを世界に示したことによって、強力な指導力を発揮し、世界に君臨するかと予測されました。しかし、戦後、ソ連・中国を基軸とする共産主義体制が新たに敷かれることななり、結局、米ソ両大国を中心に、世界は東西両陣営に二極化し、冷戦状態に入っていくことになったのです。
  この現実に対応するため、アメリカは、サンフランシスコ講和会議が開かれた昭和二十六年に、同じく日本と日米安全保障条約を結び、アメリカ軍を引き続き日本に駐留させることにしました。翌年の講和条約発効後、日本は国連加盟が認められ、国際社会に復帰することになりましたが、防衛問題については、アジアの共産主義陣営構築を防ぐ反共の防壁としてアメリカの傘下に入り、昭和二十九年に日米防衛援助協定を結びました。これで、日米関係は、日米安保体制のもと、政治、経済の面でもより結びつきが深くなっていきました。そして、一九六〇年・昭和三十五年の日米安全保障条約が全面改正され(「六十年安保」)、十年後の一九七〇年・昭和四十五年には自動延長され(「七十年安保」)、今日に至っています。こうした動きの中で、自衛隊は創設され、その活動も時代の動きと共に変容してきているのです。これからの自衛隊の位置づけ、そして有り様は、これからの日本の防衛問題を考える際に、実に大きな課題であると思います。
   さて、国家は、国民の生命と財産、そして、基本的人権を守ることが最低限の義務ですから、時代状況によって、その有り様が前記の通り変化することは己むを得ないことであります。時代と共に、その時代状況に適応した内容に整えていくことは、為政者の責務であります。世界は、時代と共に動き、変化していくわけですから。
   勿論、国の防衛は、国家が存在する基本的要素で、不可欠なことです。それを、自衛のための戦力を保持することは憲法違反だという議論をすることは、全く滑稽なことです。自衛のための戦力を保持することを成文化するとか、しないとかという問題は、本来であれば議論の余地がない問題です。それを日本では、自衛隊は憲法違反だという議論を、まことしやかに行ってきたのですから、国家観が世界の常識とずれながら戦後の歩みを重ねてきたということになると思います。
  勿論、侵略戦争は、決して行ってはいけませんし、永久にそれを放棄することを謳うことは、日本民族のアイディンテティーとして持続させたい大義だと思います。
  その国の憲法は、自国の歴史と伝統を尊重し、祖先の築き上げてきた文化に誇りを持つことを前提とし、国民の権利と義務を明記すべきものだと思います。
  現在の憲法改正の動きでは、憲法九条の問題が中心となっていますが、自衛のための防衛力の必要性は、社民、共産の両党以外、一致しています。
  これからの日本の課題は、個別的自衛権は問題ないとしても、集団的自衛権について、どのように見解をまとめ、政策として進めていくかです。国民の合意を得ながら、集団的自衛権について方向性をだすには、もっと情報開示と議論が必要だと思います。 
   他にも、公共の秩序と個人の自由の問題、信教の自由と政教分離の問題等があります。また、教育基本法の改正に伴う宗教情操教育の必要性と、愛国心の涵養の必要性が指摘されています。
  松風塾高等学校では、開校当初から教育目標に「宗教情操豊かで愛国心の旺盛な国民の育成」を掲げ、教育活動を行ってきました。時代の動向を見ると、本校創立者田澤康三郎先生の先見の目と、時代を洞察した達見に今更ながら驚かされます。それだけに、今ここにおられたら、今の時代をどのように見、どのように仰られるかと、常に考えさせられます。
   最後に、ハーグ陸戦法規国際法に「占領軍は占領地の現行法律を尊重しなければならない」と規定されてあるそうですから、占領政策で連合軍総司令部・GHQによって押しつけられた現在の日本国憲法は、国際法上から見れば、一体どうなるのでしょうか。国際司法裁判所に提訴したら、もっといろんな占領政策の意図が見えてくるような気がしますが、時代は動いていますので、今更そんなことをしなくても良いのかも知れません。しかし、占領政策の意図だけは、しっかりと認識し、これを克服し、日本らしい国造りに努めていくべきであります。

※参考文献
・『この国をダメにした日本国憲法』(政治 史研究家・瀧澤中著。ぶんか社)・『日本の憲法・国民主権の論点』(講談社)
・「日本」を否定した 日本国憲 法の問題(八木秀次・高崎経済大学助教 授。『中央公論』平成十七年二 月号)他。
・その他、インターネットでの検索等を参照。